ISO認証取得は難しい?大変そうに感じる理由や実際の難易度を解説
自社製品にたいして、ISO認証取得を目標としている企業は多いでしょう。ISO認証取得によって、売上や信頼を得ることができます。しかし、簡単に取得できるものではないと、懸念されることもあります。ここでは、ISO認証取得がどの程度の難易度かを解説します。挑戦できる可能性は大いにあるので、検討してみましょう。
ISO認証の取得が大変そうに感じる理由
ISO認証取得は難しく、大手企業でないと不可能といったイメージが先行しています。ここでは、難易度が高くかんじる理由を解説します。
業務拡大と人件費
ISO認証取得にあたって、大量の文書作成が必要です。また、業務データが審査に利用されるので入念な記録を行います。そのため、本業以外に膨大な業務が増えることになるでしょう。時間を効率的に使えない社員が増えれば、残業代に大きく影響します。企業としては、コストの問題で躊躇することがあります。
理解がしにくい内容
ISOには、製品がどうあるべきかの「規格」が定められています。各業界さまざまであり、サイズや安全性など内容は多種多様です。それらの規格にそった製品であると証明することが、認証取得にむけての取り組みになります。しかし、規定は難しい言葉で書かれており、理解しにくく感じます。社内での共有のハードルもたかくなるでしょう。
審査の手間
審査員は日頃の社内業務チェックもするので、社員へ細かく質問する可能性があります。その都度、本業への集中力が奪われるので、手間と感じる社員が多くなるかもしれません。また、合格したあとも定期的な審査があり、注意や指摘をうけることもあります。製品の信頼度アップのためとはいえ、時間がもったいなく感じることもあるでしょう。
ISO認証取得は難しくない
ISO認証取得は、さまざまな懸念点があります。しかし近年ではハードルはさがっており、挑戦しやすい環境です。
要求事項の改定
むかしは100個近くの要求事項をチェックし、審査をしていました。そのため、事前準備はとても大変であり何日も時間が必要でした。しかし、要求事項の改定があり、今はかなり簡易化されています。また、企業内のマネジメントがきちんとマニュアル化されていれば、要求される項目のレベルに見合い、問題視されません。一般的にマニュアルは、問題発生の防止や発生時の対処などです。要求事項の内容にも当てはまるので、通常通りに業務をしていれば審査は通過するでしょう。
情報を得やすい環境
ISOについての解説本は、多数出版されています。またインターネット上では、素人に分かりやすい言葉でブログや動画などがアップされています。無料である程度のことは学べるのでとても便利です。本とインターネットを併用して情報を得ると信ぴょう性もあり、実務に利用できるでしょう。
コンサルタントの利用
社内の学習がむずかしい場合、ISO認証取得コンサルタントを利用するとよいでしょう。業種や企業規模にあわせたアドバイスや、業務代行、審査立ち合いを依頼できます。価格によって、サービス内容は変わりますが、すべて任せることもできるので安心です。また、社内で取り組むよりもはるかに時間短縮ができます。コストはかかりますが、ISO認証取得後の利益アップのために初期投資するのもよいでしょう。
ISOが求めるマネジメントシステム
審査は、製造過程の社内マネジメントにも重点をおいています。製品の保障にたいする取り組みをチェックすることが目的です。規格に相当するには、次のようなマネジメントが必要です。
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、業務を継続的に改善するマネジメント方法です。計画→実行→確認→改善→計画…と、つぎつぎに問題定義し、目標を立てていきます。このマネジメントによって、品質改善への具体的取りくみがされているか審査がされます。
PDCAサイクル具体例
ISO認証取得を狙う企業は、製造業が多いでしょう。具体的なPDCAサイクルの流れを解説します。
品質の目標設定→品質改善のための立案→立案にそった業務実行→業務が正しく進捗しているかの確認→結果を記録→結果と目標値を照合し差異の確認→目標に対するプラス・マイナスの要因を検証する→課題点抽出→次回の目標設定…このような流れにより、製品の品質や安全性は保障されます。
もとからPDCAサイクルを取りいれている製造業は多いでしょう。日頃の業務内容、担当者、人員数、工数、所要時間までデータにのこし、詳細を説明できるように準備をしましょう。
データの信ぴょう性を上げる努力
PDCAサイクルのデータを細かく記録することは重要です。さらに、そのデータに信ぴょう性があるかということも問題視されます。そこで重要なことは、データ確認の際、複数人でチェックをすることです。責任者が最終チェックをすることも大事でしょう。
ひとりの決まった担当者のみがチェックすることは、ヒューマンエラーを起こしかねません。また機械測定の場合、機械のメンテナンスを定期的に行いましょう。故障による誤差が起きていない証明になります。欠点がなくなる努力をすれば、安心して審査に挑めます。
まとめ
ISO認証取得はさまざまなイメージが先行し、難しくかんじるでしょう。しかし、以前よりも取得しやすくなっていることは確かです。あとまわしにしたり、諦めていたりした企業には、挑戦することをおすすめします。一度社内で取り組んで行き詰まった場合は、取得コンサルタントに頼りましょう。最終手段として利用するとよいでしょう。ISO認証取得は、企業の成長にかならず役立ちます。学ぶことからスタートしましょう。