ISO9001の継続的改善について解説

公開日:2025/07/15   最終更新日:2025/10/28

継続的改善

ISO認証は、モノやサービス、マネジメントの国際的基準を満たしていることを証明する規格です。しかし、ISO認証は取得できればそれでおしまいというわけにはいきません。ISO認証には、継続的な改善も要件に含まれています。そこで本記事では、ISO9001の継続的改善に関して深掘りして解説します。

ISO9001の継続的改善に関する要求

ISO9001の要求事項は非常にシンプルです。「品質マネジメントシステム(QMS)の適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善すること」に集約されます。ここでいう「継続的」とは「常に改善を行う」という意味ではなく、状況の変化などに応じて必要なときに改善を実施することです。

すなわち、偶発的な機会(By chance)を捉え、組織の内外環境の変化に対応しながらQMSの状態を見直すことが重要とされています。この考え方を具体的に実行する仕組みの一つが「マネジメントレビュー」です。

マネジメントレビューでは、経営者が社内外の状況変化やQMSの運用結果を踏まえ、組織のQMSが現状に適しているか、有効に機能しているかを評価します。その結果、改善の必要があると判断した場合には、経営トップが改善を指示し、全社的な品質マネジメントの見直しを行うプロセスが組み込まれています。

また、製品やサービス提供の過程で不適合や顧客からの苦情が発生した場合には、修正処置や是正処置を実施しなければいけません。これには使用部品の見直し、業務手順や作業方法の改善などが含まれ、問題の再発防止と品質向上を目的としています。

さらに、QMSの有効性を内部から検証するために「内部監査」が行われるのもポイントです。内部監査では、各部門の業務や作業結果がQMSの要求に適合しているかを社内要員が確認します。不適合があった場合や改善の提案がある場合には、手順書や記録書式などを修正する取り組みが進められます。

ISO9001の改善のきっかけ

企業活動は常に変化にさらされており、社会情勢や内部環境の変動に応じて柔軟に対応することが求められています。特に、顧客が求める製品やサービスの内容が変化する中で、企業はその要求に合わせて品質や提供方法を改善していく必要があります。

たとえば、2020年以降の新型コロナウイルスの影響により、リモートワークやWeb会議システムの導入、時差出勤や交代制勤務の実施、教育や会議の人数制限など、働き方そのものが大きく変化しました。これにより、業務の進め方や社内の管理体制を見直す企業が増えています。

さらに、世界情勢の変化も企業活動に直接的な影響を与えています。米中の政治・経済対立の激化、ロシアによるウクライナ侵攻などにより、資源の輸出規制や部品の供給不足、資材価格の高騰、円安による物価上昇が発生しているのが現状です

その結果、工場の生産制限や一時的な操業停止など、経営環境が不安定になるケースも増加しています。加えて、企業内部でも人材の入れ替わり、新しい技術や設備の導入、老朽化した設備の更新などにより、業務プロセスや組織体制に変化が生じることもあるでしょう。

こうした内部・外部の要因は、企業にとって最適な品質マネジメントシステム(QMS)の形を常に変化させる要素となります。そのため、ISO9001では、環境の変化に対応しながら、あるいは一定期間ごとにQMSを見直し、最適な状態を維持することを重視しています。

継続的改善の活用について紹介

日本の製造業では、長年にわたりQCサークル活動や改善提案制度など、現場主導による改善活動が盛んに行われてきました。これらの活動は製品品質の向上に大きく寄与し「品質日本」と称される高い評価を支える基盤となってきました。

現在では活動の勢いはやや落ち着いているものの、多くの現場で改善の取り組みは継続されており、日本のものづくり文化として定着しています。一方、ISO9001は経営者の方針や目的を現場に反映し、組織全体として目標を達成していく「トップダウン型」のマネジメントシステムです。

そのため、現場から自発的に行われる改善活動は直接的な要求事項には含まれていません。しかし、ISOが重視する「顧客満足の向上」を実現するためには、現場主体の改善活動が非常に有効であり、組織全体の品質向上を支える重要な要素とされています。

日本適合性認定協会(JAB)が発足して28年が経過し、ISO9001の管理システムが企業に定着する中で、現場主導型の改善文化が失われる懸念もありました。ところが、実際には多くの製造業においてISO9001の「継続的改善」の理念が、従来の現場改善活動と結びつき、より体系的な品質向上活動へと発展しています。これにより、日本の製造現場ではISOの枠組みを活かしながら、自主的な改善が引き続き行われています。

まとめ

ISO9001の「継続的改善」は、単なる品質管理の枠を超え、企業が時代の変化に柔軟に対応しながら成長を続けるための重要な指針です。社会情勢の変化や技術革新、働き方の多様化など、企業を取り巻く環境は常に変動しています。そうした中で、ISO9001の仕組みを活用することで、経営層の方針と現場の改善活動を結びつけ、組織全体として持続的な品質向上を実現できます。日本が誇る現場主導の改善文化とも親和性が高く、QC活動や改善提案制度と組み合わせることで、より実効性のある品質マネジメントが可能です。ISO9001は、変化をチャンスに変え、企業の競争力と顧客満足を高め続けるための強力な仕組みといえるでしょう。

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ISOプロの画像 引用元:https://activation-service.jp/iso/lp/
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