そもそもマネジメントシステムとは?基礎知識を紹介

公開日:2025/12/15  

マネジメントシステム

ISO認証の取得の第一歩は、マネジメントシステムに関する知識を理解することです。そこで今回は、マネジメントシステムの概要を詳しく紹介するとともに、マネジメントシステム規格「ISO」についても解説します。ISO認証の取得を目指している人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

マネジメントシステムの概要

マネジメントシステムとは、組織が掲げる方針や目標を確実に達成するための「組織を効率的に動かす仕組み」のことを指します。目標を実現するために必要な手順やルールを整え、誰が担当してもブレがない状態をつくることが目的です。

例えば、家族旅行のために50万円を貯めるケースでは、「お父さんが残業を増やす」「お母さんが節約する」といった個々の努力だけでは達成が難しくなります。そこで「1日30分残業」「食費を30%削減」といった具体的な小目標を設定し、その実行状況を定期的に見直し、改善していく仕組みが必要になります。

この考え方こそがマネジメントシステムの本質です。企業に置き換えると、品質マネジメントシステムでは「品質向上」という大きな目的を達成するために「不良率10%削減」「顧客満足度20%向上」などの具体的な目標を設定し、進捗をレビューしながら改善を重ねていきます。

こうした仕組みを成り立たせるためには、トップ自らが関与し、必要な人員や予算を確保する姿勢が欠かせません。また、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)というPDCAサイクルを継続的に回すことも重要です。

マネジメントシステムは、目的の設定から実行、評価、改善までを一連の流れとして継続し、組織がより良い方向に進み続けるための土台となる仕組みです。

マネジメントシステム規格「ISO」とは

ISOのマネジメントシステム規格は、組織運営における仕組みづくりを国際的な基準で整えるためのガイドラインとして位置づけられています。

まず「規格」とは、世の中で統一された基準のことを指し、USBやJISなどの身近な例がその代表です。たとえば家庭のコンセントの形状が共通しているのは、規格によって標準化されているためであり、人々が不便なく同じものを利用できるようにするための工夫といえます。

同じように、マネジメントの仕組みについても標準化された枠組みが必要とされ、その役割を担っているのがISOマネジメントシステム規格です。ISO規格は国際標準化機構(ISO)が作成している国際基準で、世界中の企業が共通の考え方や手順を参照できる点に大きな特徴があります。

組織によって人員構成や企業文化が異なるにもかかわらず標準化が機能する理由は、ISO規格が「こうしなければならない」という細部のやり方を押しつけるものではなく、必要なプロセスや機能を示す「フレームワーク」であるためです。

つまり、難しい仕組みづくりを分かりやすく整理し、会社が目指すべき方向性を示してくれる「ガイドブック」のような存在と言えます。もちろん、ISO規格が絶対的な正解というわけではありませんが、一定の品質でマネジメントシステムを構築するうえで大きな助けになるのは事実です。

さらに、ISO認証を取得するためには、各国で1つに定められた認定機関から「審査できる能力がある」と認められた認証機関による審査を受ける必要があり、このプロセスを通じて組織の仕組みが基準に沿っていることが客観的に確認されます。

ISOマネジメントシステム規格の種類

ISOマネジメントシステム規格にはさまざまな種類があり、組織が抱える課題や重点分野に応じて活用されています。その中でも特に代表的な規格として、以下の5つが挙げられます。

ISO9001

まず、ISO9001は品質マネジメントシステムに関する規格で、製品やサービスの品質向上を通じて顧客満足度を高めることを目的としています。製造業や建築業など、ものづくりを中心とした企業で広く導入が進んでいます。

ISO14001

次に、ISO14001は環境マネジメントシステムの規格で、企業活動による環境リスクを把握し、その低減を図る仕組みづくりを支援するものです。環境問題への社会的関心が高まる中、製造業や建設業、小売業など幅広い業種で取得が拡大しています。

ISO27001

情報セキュリティ分野では、ISO27001が重要な規格です。これは情報資産を安全に管理し、不正アクセスやサイバー攻撃といったリスクを低減するための枠組みを示したものです。IT企業や人材業、運送業など機密情報を扱う企業が多く取得しています。

ISO45001

ISO45001は、労働安全衛生に関する規格です。職場での事故やケガ、健康被害を防ぐための仕組みを整備することを目的としています。製造業や建設業、食品メーカーなど、安全性が特に求められる業界での導入が進んでいます。

ISO22000

食品分野で重視されるのが、ISO22000です。食品事故や食品危害を未然に防ぎ、安全な食品を提供するための全社的な仕組みづくりを示した規格です。食品製造業を中心に多くの企業が取得しています。

まとめ

本記事では、組織の目標達成を支える「マネジメントシステム」の基礎から、国際的な基準であるISO規格の役割、さらに主要5規格の特徴までを体系的にわかりやすく解説しました。マネジメントシステムは、組織を継続的に成長させるための「仕組みづくり」そのものです。ISO規格はその仕組みを整えるための信頼できるガイドラインとして、多くの企業で活用されています。品質・環境・情報セキュリティ・安全衛生・食品安全といった多様な分野に対応するISO規格を理解することで、自社がどのような課題に取り組むべきかが見えやすくなり、より質の高い組織運営へとつながります。

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